農業の非経済的価値
国際農産物市場における価格とは、人為的・政策的要因によって歪められた、異常な低価格なのです。
それは経済理論が想定するような"自然価格"でもなければ、世界的な需給事情をそのままに反映した価格でもありません。
その点では、国際価格を基準に国内農業のコスト・ダウンを図るべきだとする一部の近代化論者の発想は、事実認識を誤っているといわねばなりません。
・・・以上にみたような理論的・現実的問題点をふまえた場合、農業の国際分業というものがけっしてそれほど合理的でもなければ、効率的でもないことは明らかです。
少なくとも、農業の国際分業には一定の限界があるといわざるをえません。
国民経済にとって農業とは、たんなる価格の高低だけでは測りきれない、プラス・アルファの価値、プラス・アルファの意義をもっているのではないかというのが、農業の非経済価値をめぐる問題です。
これを工業との対比でとらえれば、工業は公害・環境破壊などの外部不経済効果をもたらすのに対して、農業は価格ターム以外の各種の外部経済効果をもつ産業であり、そのことを考慮して国民経済のなかでの農業の位置づけを考えるべきだという議論になります。